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アメリカを変えた四人の実業家(その3)・提督と呼ばれた男 |
第ニ話 コーネリウス・バンダービルト(1794~1877)

さて、スターテン・アイランドからマンハッタンは、8キロメートルの海峡である。バンダービルトは、そのニューヨーク周辺のフェリーも運搬船も買い占めて行った。「提督」と自ら名乗った男は、26歳になった。勿論のこと遠の昔に百万ドル長者となっていた。ニューヨークの西側はハドソン河である。この河は真っ直ぐ北上すると、カナダのオンタリオ湖からのちに掘られたセント・ローレンス川の運河を通って大西洋に出るという長大なものである。バンダービルトは、ニューヨーク州の県庁とも言うべき、アルバニーまで河船を出す意欲を持った。ニューヨークが首都になったのは、1788年7月のことである。すると、農夫の息子バンダービルトは6歳だったとなる。1820年の後半、自ら蒸気船の船長となって、いよいよ実業を目指したのである。26歳だった。

ハドソン河を遡上する、帆かけ船はあったが、水流が強くアルバニーへ行くには、三日もかかるという始末であった。米海軍の蒸気船は車輪を両側に着けたもので、ペリーの黒船(1853年)はその超大型船ということである。これは、蒸気機関の発達と共に大きくなって行った。だが、バンダービルトの新事業は簡単じゃなかった。競争相手が出てきたからだ。当然のことに「運賃争い」が起きた。提督は船を大きくして、運賃を激安とした。安い運賃と船室の広さで人気一番となったが、コストが高く収益が出ないと判った。「船客に食い物を売ろう~食堂を作ろう」とイタリア人の料理人が申し出たのだ。これが当たった。だが、提督はたちまちのうちに飽きてしまった。

現代のハドソン河とマンハッタン。

若い提督は、東海岸を南に下ることを考え付いた。ほぼこの航路を頻繁に航海して、東海岸の港湾都市を独占して行った。処女航海で、ワシントンDCの北のバージニアへ行った。アメリカの首都ワシントン特別市が出来たからである。その為には、チェサピーク湾からチェサピーク河を遡る。このチェサピーク湾は牡蠣で有名だ。バンダービルトは「生牡蠣」を食うオランダ人だ。このチェサピークのオイスターは、「ブルーポイント」と呼ばれる世界でも美味い牡蠣なのだ。伊勢は、的矢牡蠣で育ったので、黒い縁の小型の牡蠣が好きだ。だが、このブルーポイントは美味いよ。牡蠣をウースターソースとタバスコか、ホース・ラディッシュという「わさび」を付けてクチに放り込む。飲み物は伝統的にウオッカとされている。アメリカ人の友人10人ぐらいと一樽を食ってしまったことがある。黒人の「シャッケル・ボーイ」が器用に牡蠣をナイフで、こじ開けた。

バンダービルトはこのチェサピークの生牡蠣をニューヨークに持って帰った。 持ち船には製氷機も冷凍庫も備わっていたし、コックも乗っていたからだ。これが、現在の「オイスター・バー」なのである。ロングアイランド鉄道の始発点であるグランドセントラル駅が有名である。提督はこの牡蠣で巨額を得た。これも独占事業に近いからだ。

1849年にカリホルニアで砂金が見つかると、「ゴールド・ラッシュ」が起きた。ニューヨークから蒸気機関付きの帆船が南米の南端のマゼラン海峡を回って、チリのバルパライソで錨を降ろし、サンフランシスコを目指した。半年の航海だったと。さらにマゼラン海峡ほど恐いところは無い。難破船の墓場というわけだよ。伊勢夫婦はこの記事に書く場所は全部行ったぞよ(笑い)。

それを聞いたバンダービルト(55歳)は、ニカラガの河~ニカラガ湖~狭い地峡は駅馬車で太平洋に出るルートを考えついた。さっそく、実行した。「カリホルニアに、安く~早く~安全に行けるぞ!」と新聞広告を出した。この新事業は最大の富をもたらした。その頃、マンハッタンに200室もある巨大な赤レンガと大理石の宮殿を建てているが、妻はスターテン・アイランドの友人と別れたくないと宮殿に住むことはなかった。

ついで、提督は、このニ本マストの汽船を造らせた。世界一の豪華船であった。大西洋を横切り~ロシア帝国のセント・ピータースバーグにまで行った。その航海では、地中海にも入り~オスマン・トルコのイスタンブールまで行っている。ところが、この大航海中にある事件が起きる。それは次回にね。伊勢平次郎
みなさん
隼速報は2007年の四月に始動して~今年の四月で足掛け八年になります。ここで、一旦、政治トピックスを短縮して~「モロン論争・炎上」と「世界を変えたアメリカの実業家シリーズ」の組み合わせにリストラします。強制のない「有料サイト」になります。月額は、ワンコイン(五百円)とします。下記の2口座のどちらかに、一月五百円、または、10年分一括して振り込んでください(笑い)。
1)「モロン血風録・炎上」英語の論戦。週一回にするね。時間がかかる上に、毎日、論戦する記事が出るわけじゃないのでね。英語の新造語や、スラングや、慣習を学んでくださいね。
2)「アメリカを変えた四人の実業家シリーズ」は、南北戦争(1861~1864)直後に起きた近代工業化に命を賭けた実業家四名の生き様を描きます。その四名とは、、「鉄道王」コーネリウス・バンダビルト~「石油王」ジョン・D.ロックフェラー~「鉄鋼王」アンドリュウ・カーネギー~「投資銀行王」J.P.モーガンの四名です。ご期待を乞う。伊勢平次郎 ルイジアナ
海外広報に、ご献金を頂きたい
A) 振込口座
1)金融機関 みずほ銀行・上大岡支店・支店番号 364
2)口座番号 (普通) 2917217
3)口座名 隼機関 ハヤブサキカン
B) 郵便局口座
1)口座番号 10940-26934811
2)口座名 隼機関 ハヤブサキカン
MEPHIST先生が一万円を下さったわ。WA・EIさまが、今月も1000円下さった。有難うね。再び、MZ・TKさまが、1月も、20、000円ものご献金を下さった。このお方は、七年もの年月、伊勢を支援して下さっている。また、IS・NA(ご婦人)が、5000円ものご献金を下さった。IS・NAさまは二月にも5000円を下さった。どう、ご恩を返せるのか?「今やっていることを続けよ!」というご意思なのだと理解している。感謝しています。伊勢
米国の株銘柄の選び方
生徒さんが二人になったわ。嬉しいわい。伊勢爺は「生きている限り、日本の力になってやろう」と決心している。一年間の授業料は、たったの2万4000円です。毎日、一通か二通のメールで速報とアドバイスを提供している。日本人の問題は英語の速読なんですね。だからと、英語を中年から始めても、時間がやたらと過ぎていく。そこへ、伊勢爺さんをカマセば済むことなんです。おひとりの在米駐在員さんが「自分の知らなかったことが理解できて、たいへん勉強になっています」とメールをくれたよ。こぞって、応募して下さいね。NIPPONFALCONS@GMAIL.COM 伊勢



さて、スターテン・アイランドからマンハッタンは、8キロメートルの海峡である。バンダービルトは、そのニューヨーク周辺のフェリーも運搬船も買い占めて行った。「提督」と自ら名乗った男は、26歳になった。勿論のこと遠の昔に百万ドル長者となっていた。ニューヨークの西側はハドソン河である。この河は真っ直ぐ北上すると、カナダのオンタリオ湖からのちに掘られたセント・ローレンス川の運河を通って大西洋に出るという長大なものである。バンダービルトは、ニューヨーク州の県庁とも言うべき、アルバニーまで河船を出す意欲を持った。ニューヨークが首都になったのは、1788年7月のことである。すると、農夫の息子バンダービルトは6歳だったとなる。1820年の後半、自ら蒸気船の船長となって、いよいよ実業を目指したのである。26歳だった。

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現代のハドソン河とマンハッタン。

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1)金融機関 みずほ銀行・上大岡支店・支店番号 364
2)口座番号 (普通) 2917217
3)口座名 隼機関 ハヤブサキカン
B) 郵便局口座
1)口座番号 10940-26934811
2)口座名 隼機関 ハヤブサキカン
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