2015/08/06 (Thu) 連載小説「憲兵大尉の娘」(3)
◆「満州事変以降、侵略を拡大」 有識者懇が報告書

 安倍晋三首相が戦後70年談話の作成のために設けた私的諮問機関「21世紀構想懇談
会」の座長を務める西室泰三日本郵政社長は6日、首相官邸で首相に報告書を手渡し
た。報告書では「(1931年の)満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、無謀な戦争で
アジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」と明記し、先の大戦を侵略戦争だっ
たと位置づけた。(日経新聞)

(伊勢)その通りです。ぼくは満州新京生まれ。わが父は関東軍の滑走路を作る会社の社長だった。父が「侵略だ」と言ったのを聞いたことはないが、陸軍や石原莞爾の話が出ると苦虫を噛んだ顔をした。ぼくは、1937年の盧溝橋事件以来は「侵略」と思っている。2005年、盧溝橋へ青い目の妻と行った。自分で感じてみたかったから。


mutu wan

日本第八師団青森第五歩兵連隊は青森市の郊外にあった。日清戦争が終り日本に新たな脅威が現れた。それはニコライ皇帝のロシア帝国であった。ロシアは巨大な陸軍国である。日本陸軍は軍備拡張が必要となった。青森第五歩兵連隊は6個師団の一つである。兵士はおもに東北地方出身者から構成された。満州~千島~樺太の防備が任務なのだ。満州国の首都である新京特別市に関東軍指令部がある。関東軍はハルビン~満州北端~東部のソ連国境に接する牡丹江守備隊構成に関東や東北出身の若者を選んだ。

「わかるか?」と飛鳥と名乗った関東軍憲兵大尉が言った。

「大尉殿、するとあなたは新京から来られたのですか?」

「そうだ」

「キサマはおれの指揮下にはいる」と鎌田中尉が言った。中尉の舌が蛙を追い詰める蛇のように唇をぐるりと舐めた。

「なにとぞ、よろしくお願い致します」と長谷川が言うと蛇は横を向いたのである。その瞬間をを飛鳥憲兵大尉が見ていた。

「もういいだろう」と飛鳥が中尉に言うと中尉は長靴を揃えて敬礼をした。部屋を出て行った。

「君はこの連隊で二ヶ月の歩兵訓練を受ける。それは体力を着けるためである。鎌田中尉が君の上官なのだ。軍隊で生きるコツは要領だ。うまくやれ」

「上等兵が上官じゃないのですか?」

「君は憲兵隊候補生という肩書きだ」

「憲兵になれと」

「それは、新京関東軍司令部に来てから話す。君は馬に乗れるのか?」

「はい、馬小屋で生まれたようなもんですから」

「しかし、それは道産子だろう?」

「そうであります」

「北満では道産子は役に立たない」

「はあ?」

                              *

馬と聞いた長谷川は、父親と荷駄を道産子に満載したあの十月の朝を想い出していた。長谷川一家は十和田市と青森市の境にある石倉山の麓に牧場を持っていた。山林と駒込川の堤があった。三千坪もなかったが、八人の一家は牛乳で充分な暮らしが立った。石倉山は九百メートルほどの特長のないなだらかな山である。十キロ南西にある八甲田山系は空にそびえる火山群である。この山岳地帯は豪雪で日本一だろう。だが、自然という神はこの八甲田山系に恵みを与えた。それは複数の温泉だ。それだけではない。牧場に適する谷間~渓流~木炭に適する樹木~栗~りんご、、川魚の陰も濃い。イトウ~ニジマス~カラフトマス~ヤマメ~ウグイ~川うなぎ、、さらに青森は三方が海である。鮮魚もほたて貝も四季を通して食卓を賑わした。イカ~マダコ~カレイ~マイワシ~ギンダラ~サケマス、、魚篭(びく)を腰に釣り竿一本、、魚を一生涯追いかけることが出来た。問題があった。それは寒冷地のために米が取れなかったのである。




「道夫、雪が降る前に八甲田温泉へ炭を届けなあかん。うちも米や干物が要るしな」と父が言っていた。荷駄を作るのに三日かかった。その十月の朝、炭俵を四本つつ二頭の馬に括りつけた。二袋つつ玉蜀黍を括りつけた。三頭目の馬にはミルク缶とバターの入った箱と味噌の樽を括りつけた。道夫と父親は徒歩である。道夫は十歳になっていた。草鞋を履いて菅笠を被った。八甲田温泉までは、十キロの山道を行く。それも真っ直ぐではない、細くて険しい杣道(そまみち)であった。明治になるまで道などなかった。その杣道も雪が降ると掻き消えてしまうのである。家を出て三キロのところに浅い急流ある。八甲田山水系の駒込川である。八甲田山の東から西北へ流れ、青森市内で桜堤がある荒川と合流して下北半島~夏泊半島~津軽半島に囲まれた陸奥湾に注いでいる。因みに駒込川が運んでくる八甲田山のミネラルが陸奥湾を豊かな漁場にしている。

「雨が降るかも知らん」と母親が雨合羽を二人に着せた。
                  
「一晩泊まって来るよ」

「それがいい」と妻が言って買い物リストと財布を渡した。

                          *

浅いが急流の駒込川に沿って三頭の道産子と父子が歩いた。馬は荷駄が軽いのか足取りも軽い。橋下駄の付いた木橋を渡るとき、先頭の馬が躊躇した。道夫が綱を引っ張った。父親が尻を平手で叩いた。全員、何なく渡った。

道夫の菅笠にポツリと大粒の水が落ちた。雨だ。ぱらぱらと降ったと思うと雨脚が強くなった。急に、森の空気が冷えた。一行は三時間歩いていた。

「う~む、半分来たが、、」

下り坂になった。馬も人間もズル~と草鞋の足が滑った。農道に出た。三軒しかない温泉旅館が見えた、、八甲田温泉だ。

                         ~続く~






ということで、海外広報に、ご献金を頂きたい

日本人で、伊勢一人がブルームバーグ紙で論戦している。アメリカ人は100%伊勢の「中国批判」に賛成なのです。とくに、日本に配備された米海軍軍人はね。「日本海軍は兵士も艦船も中国海軍よりもダントツに優れている」と書いてくれた。だが、今日はアメリカを批判した。

Iseheijiro • 9 hours ago
Japan is a sovereign nation and the closest ally to the US. Japan is not a lapdog of US. They agree if the US request is legitimate such as Okinawa bases. Majority of Japanese oppose Abe's reinterpretation of their constitution. They claim there is not enough explanation to change. However, that is not the real reason. Japanese public does not trust US from time to time. For example, George Bush's private war with Iraq 2003, another is Hiroshima/Nagasaki atomic bombing that killed innocent civilians August 1945.


A) 振込口座

1)金融機関   みずほ銀行・上大岡支店・支店番号 364
2)口座番号   (普通)    2917217
3)口座名    隼機関   ハヤブサキカン

B) 郵便局口座

1)口座番号  10940-26934811
2)口座名    隼機関   ハヤブサキカン


*7月30日、MIZ・TAKさまから、20、000円~ 7月25日、SHO・KATSUさまが、5、000円を下さった。7月23日、YA・HIさまが、10、000円を下さった。WA・EIさまが今月も(毎月)、1000円の寄付を下さった。たいへん感謝しています。有難うね。日本はまだまだ、経済も、国防も、米国政府の援助が必要なのです。伊勢爺の論戦はそこに重点を置いたものです。アメリカを批判するのも、アメリカに失敗されたくないからです。伊勢




                       



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プロフィール

伊勢平次郎

Author:伊勢平次郎
 
伊勢平次郎はペンネーム。アメリカへ単身移住してから50年が経つ。最初の20年間は英語もろくに話せなかった。英語というのは、聴き取りにくく、発音しにくい厄介なものだ。負けん気だけで生きた。味方を作ることが生き残る道だと悟った。そのうち、コロンビア映画、スピールバーグ監督、トヨタ工場、スバル・いすゞ工場の北米進出、日本の新聞社に雇われた。2013・6 冒険小説You Die For Me アブドルの冒険(邦題)をアマゾンから出版した。昨年のクリスマスには、King of Pepper(英語版)胡椒の王様を出版した。日本、英国、デンマーク、ドイツの読者が読んでくれたわ。妻のクリステインと犬2匹で、ルイジアナの湖畔に住む。

写真は、ハヤブサ F. p. japonensis。カタカナで書かれる。瞬間飛翔速度は、時速300キロという猛禽。

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