2015/08/19 (Wed) チャイナタウンの心配
chinatown dragon

中国の大衆はお祭りが大好き。カネになるなら時の政権を応援する。だって、カネが神様なんだから。福禄寿が人生哲学なんだから。今、中国の大衆は北京の共産党を疑っている。自慢の経済力が激減したからである。中国はでっかいチャイナタウンなのだ。軍事大国?向かないねえ(笑い)。伊勢平次郎 ルイジアナ


連載小説「憲兵大尉の娘」(13)

チョビ髭の山田社長が「日本軍は南京に向かっている」と言ったとき、長谷川は自分の行き先が南京だと判った。

「蒋介石を一挙に葬る作戦です」

「板垣さんの広島第五師団が熱河から万里の長城を越えたときから、これは南京攻略作戦だなと想っていた」と飛鳥大尉が天井のシャンデリアを見上げて深呼吸した。

「はあ、天皇陛下がお怒りなされたが、近衛首相は黙認したのです」

「非常に良い作戦だが広島第五師団だけで充分なのかな?」

「いえ、充分ではないです。今はそれほどの抵抗はなく歩兵師団は元気です」

「山西省の南は河南省です。そこから東の徐州を目指すでしょう」

「その南京の蒋介石軍の状態はどうなのですか?」と初めて長谷川が質問した。

「うちの上海支店の社員の報告では、蒋介石軍は米英の支援を受けている。兵器も戦闘機も新しいと言っています」

「士気は?」

「支那人はカネになる方角に寝返るかまたは逃げる性質です。日本軍のような規律はありません」

「通州虐殺事件でそれがよく判るね。憲兵隊などないのだろう」

飛鳥と長谷川が山田社長に感謝した。「安全を祈ります」とチョビ髭社長が飛鳥の手を握った。

                               *

部屋に帰ると、「明日なんだが、天津駐留歩兵連隊の連隊長に会う。もうひとり重要な人物に会う」と飛鳥が言った。そして机に新聞紙を広げた。マッチ箱ぐらいの油指しを置いた。南部拳銃をケースから取り出すと慣れた手つきでバラバラにした。振り返ると「少尉の拳銃も持って来い」と言った。

「何かあるんですか?」

「いや何もないよ、歩兵連隊で射撃の練習をする」

「自分は実際に人を撃ったことがないんです」

「そのうちに、そういうことが起きる」と何故か笑った。

「今夜の山田さんの話しだと、南京で、おおいくさになるね」

「われわれは南京へ行くわけですね?」

「そうだ。だが、真っ直ぐ南京へ行くのではない。広島第五師団について行く」




筆者は油絵が好きだ。フランス人が描いた、この絵がいつの時代のものか判らない。おそらく1930年代の河北だろう。

                                *

「歩こう」と飛鳥が言った。昨夜と同じ憲兵服に着替えていた。駐屯連隊に電話をかけて迎えは不要だと言った。

日本租界の和平路から中華街に入った。朝市で賑わっている。考えてみると、これが初めてのチャイナタウンだと気が着いた。支那人は、二人の日本軍憲兵にも驚かないのである。「您(ニイハオ)」と話しかける者までいた。長谷川も、飛鳥も温和な顔の男だからだろう。「你嗎(ニイハオマ~)」と飛鳥がにこやかに答えた。

「彼らは敵じゃない。時の政権なんかどうでもいいんだ。戦争も関係なしさ」と笑った。

「日本と支那の将来はこの人たちが決めるのでしょう」と長谷川が言うと、飛鳥が「同意」とばかりに頷いた。二人は花屋の前のテーブルに陣取った。菊を売っていた。

「重陽(ちょうよう)の節句が9月9日にあるんだ。9は陰陽五行で「陽」にあたるので、陽2つ重なるとして「重陽」という。この日は古くから山に登って菊花酒を飲む習慣があるんだ。杜甫の詩“登高”のテーマになっている」と飛鳥が言ったので長谷川が飛鳥大尉の教養に感心した。「軍服を着ていなければこの人は何になったんだろう?」と思った。

女給にジャズミン茶と月餅を頼んだ。ジャズミンの良い匂いがした。長谷川は平和なひと時を楽しんでいた。だが、飛鳥は朝市を監視していた。立ち上がると飛鳥が銀貨を女給に渡した。女給がにっこりと笑った。メキシコ銀貨だからだ。飛鳥が面白いことを言った。

「熱河は内蒙古なんだ。資源はないが、芥子(けし)が咲く。秋に阿片が取れる」

「その阿片は誰が買うんですか?」

「関東軍だよ」

「買ってどうするんですか?」

「今、メキシコ銀貨で払ったが、阿片も銭なんだ」

「支那人は政府の紙幣を信じていないと?だからわれわれは歓迎される?」

「その通り」

二人は二時間は歩いただろうか、駐屯基地の門衛と話した。鉄条網も、鉄の扉もなかった。だが屋根の上に機銃が見えた。すぐに通された。

「ごくろうさんです」と連隊長が行った。陸軍中尉の肩章だった。

「これで、猪鹿蝶と揃いましたな」と飛鳥が言った。




明治期の広島鎮台。明治時代の日本人のセンスは非常に高い。全てが自信に溢れ堂々としている。これは精神から来るものである。


天津駐屯歩兵連隊も広島第五師団なのだと連隊長が言った。中尉の声には誇りがあった。第五師団は明治二十一年に創設されているが二万五千の歩兵であった。自動車を使う上陸線用の師団なのだ。日清戦争~日露戦争~満州事変~シベリア出兵~支那事変~太平洋戦争に出兵した。最終ランキングは上位二級である。第五師団は広島城内にあり、周辺も含めて日本軍の施設が集中した。島根~広島~山口出身の兵隊で編成され、第五師団の規模は1930年に最大となっている。広島大本営は中国軍管区司令部となった。これは第五師団が日清日露以来、中国大陸に精通していたからである。また、呉は日本海軍の母港であり、大連港や葫蘆島に第五師団その他を輸送する出発点であった。広島第五師団に関して筆者はこれからも度々述べる。

「太原にはどうすれば行けますか?」と飛鳥が中尉に聞いたとき、長谷川は、板垣中将の北支那方面軍に合流すると判った。

「空爆が続いているが、出撃回数が減ったと聞いた。天津から輸送機が太原北部に物資と郵便を運んでいる。聞いて見ましょう」

「中尉殿、山西省~河南省~江蘇省の軍用地図を頂けますか?それと拳銃の射撃練習は出来ますか?」

「地図は用意します。射撃?当たり前ですよ。地下があります」と笑った。

上等兵が来て地下室に案内された。飛鳥が長谷川に初歩から教えた。安全~拳銃の置き方~グリップの装填~足の位置~両手で握る、、

「南部は頼りないが刀の代わりさ。咄嗟でも、20メートルなら当たる。憲兵は兵隊ではない。必要な状況以外、拳銃を使うことは禁じられている」

二人は連隊長に礼を言った。「輸送機の件は明日までに判る」と中尉が言って地図を渡した。三人が敬礼した。外へ出た。次の人物に会うためである。
         
                      ~続く~







ということで、海外広報に、ご献金を頂きたい

日本人で、伊勢一人がブルームバーグ紙で論戦している。アメリカ人は100%伊勢の「中国批判」に賛成なのです。とくに、日本に配備された米海軍軍人はね。「日本海軍は兵士も艦船も中国海軍よりもダントツに優れている」と書いてくれた。だが、今日はアメリカを批判した。

Iseheijiro • 9 hours ago
Japan is a sovereign nation and the closest ally to the US. Japan is not a lapdog of US. They agree if the US request is legitimate such as Okinawa bases. Majority of Japanese oppose Abe's reinterpretation of their constitution. They claim there is not enough explanation to change. However, that is not the real reason. Japanese public does not trust US from time to time. For example, George Bush's private war with Iraq 2003, another is Hiroshima/Nagasaki atomic bombing that killed innocent civilians August 1945.


A) 振込口座

1)金融機関   みずほ銀行・上大岡支店・支店番号 364
2)口座番号   (普通)    2917217
3)口座名    隼機関   ハヤブサキカン

B) 郵便局口座

1)口座番号  10940-26934811
2)口座名    隼機関   ハヤブサキカン


*7月30日、MIZ・TAKさまから、20、000円~ 7月25日、SHO・KATSUさまが、5、000円を下さった。7月23日、YA・HIさまが、10、000円を下さった。WA・EIさまが今月も(毎月)、1000円の寄付を下さった。たいへん感謝しています。有難うね。日本はまだまだ、経済も、国防も、米国政府の援助が必要なのです。伊勢爺の論戦はそこに重点を置いたものです。アメリカを批判するのも、アメリカに失敗されたくないからです。伊勢


宝田明さんにメールを出した

[ メッセージ ]
隼速報の伊勢です。ぼくも1941年、新京で生まれました。一家七人は終戦一年前に日本へ帰りましたが、兄三人は学徒出陣と予科練へ行きました。みな生還しました。「満州を掴んだ男」が現在集英社の手にあります。出版はわかりません。応援してください。ブログで「憲兵大尉の娘」を連載中です。是非、ご覧ください。



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プロフィール

伊勢平次郎

Author:伊勢平次郎
 
伊勢平次郎はペンネーム。アメリカへ単身移住してから50年が経つ。最初の20年間は英語もろくに話せなかった。英語というのは、聴き取りにくく、発音しにくい厄介なものだ。負けん気だけで生きた。味方を作ることが生き残る道だと悟った。そのうち、コロンビア映画、スピールバーグ監督、トヨタ工場、スバル・いすゞ工場の北米進出、日本の新聞社に雇われた。2013・6 冒険小説You Die For Me アブドルの冒険(邦題)をアマゾンから出版した。昨年のクリスマスには、King of Pepper(英語版)胡椒の王様を出版した。日本、英国、デンマーク、ドイツの読者が読んでくれたわ。妻のクリステインと犬2匹で、ルイジアナの湖畔に住む。

写真は、ハヤブサ F. p. japonensis。カタカナで書かれる。瞬間飛翔速度は、時速300キロという猛禽。

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