2015/09/05 (Sat) 核なき日本は滅びる
china icbm 9.3.15

これが中国のICBMだ。その数は判らないが核弾頭を積んでいる。米国本土にも届く。これがアメリカを怒らせた。大衆までもである。ジャック・ルウ財務長官は対中経済制裁を考えている。すでに、プログラムが出来た。日本が核武装することがベストなんだが、日本の国民の何人が理解するのかに掛かっている。安倍晋三さんにも不思議な理念が見える。非核三原則を厳守するとか?核なき日本は滅びると言っておく。伊勢平次郎 ルイジアナ






連載小説「憲兵大尉の娘」(29)

表紙憲兵大尉の娘_convert_20150830145240

(29)

「カレン・スターです」とロシア語の教師が自己紹介した。あまりにも若いので、長谷川が歳を訊いた。二十歳になったばかりだと。小柄でロシア人の顔ではない。また、訊くと、ユダヤ人なのだと。長谷川は納得が行った。杉原領事がビザを日本政府の許可なくユダヤ難民に、どんどん発行したと聞いていたからである。

「ロシア語をマスターするには何年掛かる?」

「長谷川少尉さんは、マスターする必要はないです。会話がわかる程度で良いのです。ただ、暗号解読にはロシア語が読めないと出来ないのです。6ヶ月の特訓でやれと杉原領事です」

「だが、東満州を見て回るから、8ヶ月はハルピン中心の生活になると思う」

「この教科書でロシア語や文化を習います」とカレンが分厚いテキストブックをくれた。そのとき、長谷川の手がカレンの手に触った。

「すみません」と言ったがその手の美しさに心が揺らいだ。長谷川が自分の弱さに気が着いた。そして、妊娠した貞子を想った。

「長谷川さんは科学者なんですってね?」

「科学者だが、農夫でもあるんです」と笑った。

「哈爾浜館にはどのくらいご滞在するのですか?」

「イワノフがアパートを探しているんです」

「イワノフに会わせてください。私の両親が持っている館を見せますから」

そこへ、領事とイワノフが入って来たので、館を見に行くことになった。日本人運転手とダットサンに乗った三人がハルピンの南西へ向かった。

「飛鳥大尉は軍司令部にお出かけです。4日間の出張だそうです」とイワノフ。

建物が混雑した支那の街に入った。「う~む」と長谷川がイワノフの顔を見た。

「南岡区というんです。こういう場所が意外に安全なんです」とイワノフが心配顔の長谷川に言った。

ダットサンが瀟洒なロシア風の館の前に停まった。道路の向かい側は公園のようだ。

「天龍公園ですよ」と運転手。

カレンの両親が玄関で出迎えた。長谷川が、カレンは父親に似ていると思った。

「さあ、どうぞ遠慮しないで」と居間に通された。天井が高く、シャンデリアが下がっているゴシックな設計であった。母親とカレンが、お茶と菓子を持って来た。借りる部屋を見た。重い家具と額に入った鏡のある豪華な部屋だ。仕切りがある。飛鳥大尉が喜ぶだろう。

「東向きなのよ」とカレン。それとダイニングとキッチンを見せた。

「ほかには住人はいないのですか?」

「血縁だけです。カレンは領事館の近くのアパートに住んでるのよ。この娘は独立心が強いの」と母親。

「ママ、そうじゃないのよ。領事館に歩いて行けるから」と笑った。そのエクボが可愛いかった。

話しは決まった。引越し荷物はトランクひとつ。拳銃とハンザ・キャノンだけだ。

                           *

「совершенно секретноってどういう意味?」とロシア語教室が始まった。

「シェべシェンノ シェクペトナ。極秘という意味です」

「товарищ Зоргеは?」

「トバリシ ゾルゲ (同志ゾルゲ)」

長谷川が唇に手を当てて想いに沈んでいた。カレンはその理由がわかっていた。長谷川が口を開いた。

「この解読任務は危険ですか?」

「危険です」と長谷川の眼をじっと見詰めた。

「少尉さんには娘さんがいるのね?」

長谷川は頷いただけであった。

4日後の午後に飛鳥が南の関東軍平房飛行隊基地から戻って来た。早速、南岡の館へ引越しした。ユダヤ人の夫婦は温厚な顔の落語家が好きになった。飛鳥が平房のお土産を夫婦に渡した。

「スパシーボ」

「パジャールスタ (どういたしまして)」

「ロシア語はどう?」と部屋に入ると長谷川を振り返った。

「意外に易しいんです」

「おい、あの先生、可愛いね」と笑った。

「はあ、ときどき見詰められると困るんです」

「大尉殿、ゾルゲってどういう人物ですか?」

「暗号解読を憶えたら、実地に教える」

                         *

「イワノフの住所が判らないのですが、どうして連絡するのですか?」

「イワノフから連絡がある。こちらからはない」

「天龍公園でも行こうか?昼飯はそこらで」と外套を着て白いマスクをした。

二人は歩いて行った。歓声が上がった方角を見ると人だかりがあった。見世物だろう。人垣の後ろから見ると、なんと熊皮のパンツ一枚のジャポチンスキーが160キロのバーベルを挙げていた。どす~んとバーベルを地面に落とした。地面が揺れた。イワノフが笊を持って一巡した。飛鳥と長谷川を見たが表情を変えなかった。

「200キロ」という声が聞こえた。

「賭けをしよう」とイワノフがその支那人に言った。ひとりの支那人が紙に鉛筆で掛け金と名前を書き込んだ。大金が賭けられた。200キロを挙げる人間などいないからだ。イワノフが200キロのバーベルに挑戦した、、手に粉をふるとバーベルを掴んだ。群衆が息を呑んだ。歯を食い縛って膝まで挙げた。「ウン」と言うと、肩まで挙げた。無言で左脚を後ろに退くと一気に頭上に挙げたのである。バーベルがその重量にしなっていた。歓声と拍手が沸いた。憲兵将校までが手叩いていた。

ふたりは、鯉を見に池へ行った。公園を出て、文昌街を南に歩いた。左手にカトリック教会の鐘楼が見えた。「唐人街」と金の文字の或る門を通った。

「ロシア飯食うか?」

「面白そうですね」

塔道斯というロシア文字で書かれた看板があった。たてものは重苦しいが、中へ入ると、テーブルにはクロスが掛かっていて上品であった。まだ、昼には早いのか、客は二人だけであった。ロシア語学生の長谷川が、野菜スープ、魚料理、ラム、ビーフと豚肉のフィレ、ハウスワインを注文した。焼きたての素敵なパンが出た。

「飛鳥大尉殿、多かったかな?」

「いいえ、多くないです」とイワノフの声がした。飛鳥がビックリしていた。イワノフはユダヤ教の坊さんに見える服装をしていた。黒い帽子を被ると別人に見えた。食事中もイワノフは帽子を取らなかった。

「何をしてた?」と飛鳥が訊いた。

「松花江の川べりの電信柱に登ってた」とイワノフ。そしてポツポツと穴の開いた紙のテープを長谷川に渡した。その間、飛鳥が店の中を見ていた。

「ひとり住まいなのか?」

「甥が昨日来ましたので二人です」

イワノフはビーフとラム肉、スープとパンを驚くスピードで食べた。ワインをガブ飲みして、ほとんど食ってしまったのである。長谷川が給仕を呼んだ。また皿が並んだ。餃子に似たピロシキが出た。

「平房はどうでしたか?」

「北支那方面軍は徐州へ向かっている。済州島から渡洋爆撃が増えた。上海、南京、重慶まで爆撃している。蒋介石を絶対服従に追い込む言っている。少尉には関係ない」

長谷川は、それが聞きたかったのだ。

「12月に君と牡丹江へ行く。それまで俺は、イワノフと仕事をする。」   
                

russian horse sleigh


11月に入ると雪が降った。降っただけでなく積もった。長谷川もミンクのロシア帽子を買った。口髭を蓄えた。

「まあ、ハンサムですねえ」とカレンがクスクスと笑った。長谷川は、29歳となった。貞子とミチルから頻繁に手紙が着いた。このユダヤ娘に惚れてはならないと誓った。

「暗号解読も随分早く正確になっています」

「面白いんでね」

「イワノフさんと飛鳥さんはどこに行ったんですか?」

「一週間帰らないと言っただけです。馬そりで何処かへ行きました」

「Верховая санях、、ベルカと言うのよ。ソリだと何処か遠くに行ったんだわ」

飛鳥が小銃を二挺ソリに積むのを見た。騎兵二人を先頭に出て行った。敵地へ侵入すると思った。

                           ~続く~


*連載小説は月曜日まで休刊です。伊勢




comment

 伊勢さん、渡洋爆撃ですが、これは犠牲が多かったはずです。海軍の井上成美が主導しました。山口多聞もいました。
 経済制裁に踏みきりますが、その内容はどのようなもんでしょうか?
G20はこれで崩壊します。お見事としか言いようがありません。しかしアメリカはその国策を一時ていしするだけで、TPPはその次の世界への布石でしょう。
 連中、後退することをなんとも思っていません。テレビのニュースを見ましたが、アメリカの財務長官は出席していたでしょうか。ぜんぜん出てきませんでした。麻生さんと黒田さんがニコニコしていました。
 支那中央銀行総裁が明快に<バブルははじけた>と述べましたが、月曜日はどうなるでしょうか?
 人民元の担保はドルですから、支那の外貨準備は激減していると思われます。アメリカ国際の利上げをしないと売れなくなるのでしょうか?
 株の買いチャンスが着ますね
2015/09/06 20:30 | kenji [ 編集 ]

名無しさん

チャイナの軍事パレードですが、ぼくは、半分成功~半分失敗だと評価している。成功はチャイナのナショバリズムの高揚~失敗は米日欧から怒りを買った。とくに、アメリカのナショナリズムは反中国に大きく傾斜した。米政府は経済制裁に踏み切るでしょう。伊勢
2015/09/05 21:56 | 伊勢 [ 編集 ]

http://www.theguardian.com/world/2015/sep/03/xi-jinping-pledges-300000-cut-in-army-even-as-china-shows-military-might

ただし、Roderick MacFarquharハーバード大学の学者は、
主に日本と中国の対立を利用して中国の最高司令官としての地位を
強化するのだと述べた。
国家主席選挙がないからその代わりだとも。
副次的目的として、日本の牽制も考えられる。
2015/09/05 15:56 | [ 編集 ]









ブログ管理人にのみ表示を許可する

プロフィール

伊勢平次郎

Author:伊勢平次郎
 
伊勢平次郎はペンネーム。アメリカへ単身移住してから50年が経つ。最初の20年間は英語もろくに話せなかった。英語というのは、聴き取りにくく、発音しにくい厄介なものだ。負けん気だけで生きた。味方を作ることが生き残る道だと悟った。そのうち、コロンビア映画、スピールバーグ監督、トヨタ工場、スバル・いすゞ工場の北米進出、日本の新聞社に雇われた。2013・6 冒険小説You Die For Me アブドルの冒険(邦題)をアマゾンから出版した。昨年のクリスマスには、King of Pepper(英語版)胡椒の王様を出版した。日本、英国、デンマーク、ドイツの読者が読んでくれたわ。妻のクリステインと犬2匹で、ルイジアナの湖畔に住む。

写真は、ハヤブサ F. p. japonensis。カタカナで書かれる。瞬間飛翔速度は、時速300キロという猛禽。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する