2015/09/09 (Wed) チャイナは蟻地獄なのだ
shanghai sse 3 month 2

6月のピークから41%急落して、昨日、再び政府が介入、マイナス38%になっている。これは、600兆円が90日で消えた計算になる。さらに、北京は米国債を50兆円ほど売って、人民元(RMB)を買い支えている。人民元が売られて海外へ逃亡するからだ。さて、この政府が株式市場やFXに介入するほどバカゲタことはこの世にはないのである。7.3%まで落ちたチャイナの経済を持ち上げるには、抜本敵な構造改革や法制化が必要なのだ。抗日戦勝記念パレードでは治らないよ(笑い)。チャイナを癌で言えばステージ3かな?そこへ、おなじように蟻地獄へ向かっているロシアと韓国が擦り寄っている。これもナンセンスである。つまり、チャイナはまだまだ後退する。伊勢平次郎 ルイジアナ







連載小説「憲兵大尉の娘」(33~34)

表紙憲兵大尉の娘_convert_20150830145240

(33)

翌日も快晴だった。雪は凍結してカチカチになっている。二人はセーターを着てマフラーを首に巻いた。平安街の桃園迎賓館を出た。街で庶民の帽子を買った。そして買い物袋を手に提げていた。全て、密偵の感心を惹かないためだ。飛鳥は髭を伸ばし放題にしていたので、契丹人に見えたのだ。長谷川も支那人の挙動を真似ていた。気分は野次喜多コンビである。

綏芬河市街は、でっかいチャイナタウンに見えた。渤海国の発祥地としては汚い印象があった。「天津は国民軍のテロが頻発するが、外国租界は瀟洒なのだ。第五連隊が基地を大きくしてからは日本人襲撃事件も減った。綏芬河では虐殺事件は起きていない。「これを満州国の成功と見ても良いのだろうか?」と飛鳥が言った。

一時間も歩いただろうか、通天路に出た。甘い菓子を焼く匂いがした。ふたりは茶園に入ってジャズミン茶を注文した。待っている間、長谷川がフィルムをハンザ・キャノンに装填していた。茶園の娘が珍しいものを見るという風に立ち止まってみている。長谷川がそれに気着いた。

「喜欢(好き)?」と飛鳥がカメラを指さした。

「摄影机最爱好」

長谷川が彼女に手渡した。彼女はひっくり返したり、ファインダーを覗いた。

「ウォスライオミー、ヨシンコー(こんな写真機、見たことがないわ)」

「一枚とって見る?」と教えた。すぐに憶えた。そして家族を呼んだ。飛鳥が住所を書かせた。現像したら送るつもりなのだ。

「シェシェ」と満面の笑みで言った。飛鳥が月餅(ゆいぴん)を袋に入れて貰った。

「自由(タダです)」と母親が言ったが、飛鳥が笑ってカネを置いた。

                               *

chinese rickshaw

外に出ると、人力車が目に入った。昨日、世話になった契丹だった。「また会ったね」と飛鳥が言うと契丹が笑った。

「今日は観光だ。鳥芬里大路へいってくれ」と地図を見て言った。契丹は2キロ走った。そうとう健脚である。左に綏芬河が見えた。ウスリーの支流である。ウスーリの本流はロシア側の40キロ内部にある。

「大尉殿、すると、ソ満国境は河で分けられていないのですね?」

「綏芬河の都市を出るとボグリニチまで何もない」と鉛筆で地図に丸を付けた。

「ソ連国境まで8キロですね」と飛鳥の目を見た。八の字眉毛の目に何の変化もなかった。長谷川が契丹に月餅をあげた。

「さっき見た綏芬河へ行こう」

契丹が勢い良く走り出した。月餅のパワーである。

綏芬河の中ごろが膨らんで湖になっている。数珠繋ぎになった艀(はしけ)が綏芬河市へ向かっていた。原木を満載していた。

「ロシアから来る」と車夫が言った。

「そうか、道理で製材所ののこぎりの音がしていたな」

「それが東清鉄道の目的だったんですね?」

「露清貿易は、渤海国時代から両国の命の綱なんだ」

「ロシア語は解かる?」と長谷川が契丹に訊いた。

「Tokaru(解かる)。ロシア人の客があるから」と答えた。飛鳥が長谷川に何か囁いた。やがて、平安街の桃園迎賓館の前に着いた。

「馬を借りるところを知っている?」

「私の両親が馬を貸す商売なんです」と笑った。

「明日朝8時に迎えにきてくれ」と飛鳥が乗車賃二人分を払った。

                        *

契丹の両親が、しげしげと飛鳥と長谷川を見た。

「あなたがたは、日本人ですね?」

「そうだ」

「くれぐれも、ソ連の国境を越えないでください」

「や、あの岡に行って景色を見たいだけだ」

「大雪が降ると言ってますが」

「そうだな、ま、最後の綏芬河の日だから借りよう」


horse in snow

契丹が厩に行って馬を引き出した。「日が沈むまでに戻ってください」と契丹のパパが言ったが心配そうな顔であった。「别担心(心配要らない)」と飛鳥が手を横に振ってパパに言った。鳥芬里大路に向かって行った。馬はロシア馬であった。鳥芬里大路に出る前に田舎の店に入り中華丼を食った。便所へ行って服装を変えた。長谷がソ連陸軍将校になった。飛鳥は八路軍の綿入れである。武器は南部とトカレフだけである。

「撃たれないだろうか?」と長谷川が心配になった。

「その可能性は、ほとんどないだろう。われわれはブナの森の中を行く」


鳥芬里大路が見えた。飛鳥が右方向に馬を向けた。あたり一面が雪原である。ブナの森に向かった。昼下がりに国境を超えた。監視塔が見えた。騎兵らしいものが出て来た。だが、一瞬で見えなくなった。それまで舞っていた小雪が雪に変わっていた。飛鳥も長谷川も外套の襟を立てて毛皮の帽子を深く被った。手拭いで顔を覆った。バンダナで覆面をした西部劇の列車強盗に見えた。

綏芬河の騒々しい街に比べて別の世界なのだ。全く、人家はなく、畑すらもなく、森が雪の中にぼんやりと佇んでいるのみである。これほどの静寂がこの世にあるか。「これがソ連の沿海州なのか」と長谷川は雪の森を写真に撮った。

「ボグリニチまで10キロです」

雪が深く馬がしばしば立ち止まった。村落が見えた。長谷川が腕時計を見ると、3時間が経っていた。ボグリニチは森林伐採が産業なのだ。大きなレンガ造りの家から煙が出ている。ペチカを焚いている。電話線が一本だけあった。長谷川が電柱に登って切断した。兵隊の監視所はない。夫々自衛なのであろう。飛鳥が離れた農家を指さした。馬をその家に進めると、突然、ドアが開いた。二人の男が銃を向けていた。

「Редкие и остановить(停まれ)」と言った。飛鳥が手を挙げて「同志」と声をかけて馬から降りた。長谷川も同じようにした。男たちはふたりを凝視していた。

「товарищ トバリシ(同志)」と長谷川がカレンから習った掛け言葉を使った。男たちがにっこりと笑った。長谷川がコサック騎兵に見えたからだ。

二人は居間に招かれた。ペチカの中で丸木が燃えていた。暖炉のそばに大鍋が置いてある。飛鳥が持ってきたウオッカのボトルを差し出した。男のひとりが「何故、小銃を持っていないのか」と訊いた。「この吹雪じゃ役に立たないから」と長谷川が言うと納得した。「同志、あなたは支那人か?」「女真だ」と飛鳥が答えた。

太った主婦が出て来たが無言で鍋をテーブルに載せた。そして、男の子が黒パンを持って来た。みんなでボルシチを食べた。主婦も子供も一言も話さなかった。ウオッカを飲んでいた男が立ち上がって別の部屋に行った。戻って来て「電話が通じない」と言った。飛鳥が男の子に月餅をあげた。にっこりと笑った。

「一晩泊まって行け」と亭主が言ったが、兵舎に帰る義務があると断った。抱き合って接吻をして馬に跨った。そして、吹雪の中を綏芬河に帰って行った。

厩に戻ったのは、夜の8時を過ぎていたが、契丹は安心したのか文句を言わなかった。息子の車夫がペルカを引き出して桃園迎賓館まで送ってくれたのである。ホテルのフロントが長谷川の服装に驚いた。部屋に帰った二人はロシアの蒸し風呂に行った。

「経験になったかね?」

「やはり、現場でしか、あの緊張感は得られないですね」


「ロシア人は軍人でない限り、人懐っこいんだよ」


「明日の昼の汽車で牡丹江へ帰る。虎頭要塞はこの雪では無理だな。ゆっくり寝てくれ」

                                 *

牡丹江に午後の3時に着いた。飛行基地の食堂に入ると、例の少尉が手を振った。

「ソ連国境を超えましたか?」

「超えたが、なにも起きなかった。ロシア人の家で美味いボルシチを食った」と少尉を驚かした。

「飛鳥大尉殿、留守中に事件が起きた」

「猪呉元かね?」

「どうして解かるのですか?」

「俺は情報特務将校だよ」

「猪呉元が冷凍室で牛の肩肉の間に吊られていたんです」

「そうかい、ハハハハ」と笑った。長谷川は体格の良いモンゴルが笑福肉店に雇われたと聞いてから、ジャポチンスキーじゃないかと思っていた。すっかり納得が行った。

「誰が殺(やった)のかねえ?」などと飛鳥が言ったのを見ていた。飛鳥が長谷川にいたずら小僧のようにウインクした。



(34)

1937年12月14日、昼過ぎに、ふたりが帰って来た。ハルピンは冷たい雨が降っていた。駅のハイヤーで館に帰った。ベルを押すと、カレンがドアを開けた。

「まあ、無事だったのね」とカレンが、そのへーゼル色の眼に涙を浮かべた。カレンは多感なのである。飛鳥がそれを見ていた。

居間に入っってカレンの両親や親戚と再会した。「今日は、ユダヤ教の祝日なのよ。6時の晩餐に来て下さい」と母親が言った。

二人は風呂に湯を入れて一人つつ入った。飛鳥が髭を鋏で手入れしていた。風呂から上がると「明日、散髪屋に行こう」と言った。飛鳥は意外にダンディなのだ。机の上に日本の新聞が積んであった。カレンが領事館から持って帰ったのだろう。二人の憲兵将校は新聞を読んでいるうちに眠りに落ちた。やがて、飛鳥が軽い鼾をかき出した。




「Happy Hanukkah」とカレンが英語で祝日を祝った。カレンはユダヤの白いブラウスに黒いひだのあるスカートを穿いていた。

ハヌカはヘブライ語である。2世紀にイエルサレムに第二のユダヤ教寺院を建てたことを祝う。ハヌカは別名「光りの祝日」といい。毎日一本つつローソクに火を点す。その最終日が晩餐なのである。必ず、外国人を招く。今夜の招待外人は飛鳥と長谷川であった。親戚やカレンの母親のイリヤが料理を次々にテーブルに並べた。

「ママが一日中、クックしたのよ」と長谷川の横に座った。

席に着いて手を組んだ。父親のヤコブが旧約聖書の一部を唱えた。終わると一同がメロンパンをちぎってスープに入れて食べた。「ボスクヒーテニ(美味い)」と飛鳥が言うとみんなが笑った。ほかにプリッツェルというリボンの形をしたパンがあったが、塩味であった。これはクリームチーズを塗って食べる。

「マッツァボール・スープと言うのよ」

「もう一杯頂ける?」というと、カレンが立ち上がって、長谷川のわんを持った。木製の玉杓子でスープを掬って入れた。それを母親のイリヤが見ていた。

最後に小鴨の料理が出た。焼いてから煮たのだとイリアが言った。飛鳥が食欲が出たのかバリバリと食べていた。

食後、茶と甘い菓子が出た。それから椅子を並べて小さな劇場を作った。カレンがスタンドピアノの前に座った。一瞬間、十本の指を鍵盤の上で止めた。叩くように弾き出した。やがて、メロデイが緩やかになって聴衆を引き込んで行った。チャイコフスキーのピアノコンツェルト、ナンバー1である。演奏は34分で終わった。カレンが立ち上がって両手を合わせると頭を下げた。割れるような拍手が起きた。ハンカチで涙を拭く者もいた。去ったロシアの日々を想い出しているのだ。カレンが拍手をしている長谷川を見た。飛鳥の眼が感動しきっていた。

飛鳥と長谷川が礼を言って部屋に戻った。

「おい少尉、あのドーチ(娘)、キサマに惚れているぞ」と笑った。長谷川は黙っていた。

「新聞には何かありますか?」と飛鳥を現実に引き戻した。

「昨日13日、南京を陥落させたとある。蒋介石は飛行機で逃亡した。それ以上のことは新聞社には分らないはずだ」

「パナイ号事件って何ですかね?」

「ああ、これも詳しくは分らんが、アメリカの軍艦が揚子江を遡上していたらしい。それを空母加賀の艦載機が攻撃して、死者3人と負傷水兵多数とだけだ。これぐらいではカネで解決する。アメリカは直接参戦しないだろう」

「これからの予定は何でしょうか?」

「君は暗号解読の勉強があるが、明日、俺に付き合え。散歩だがね」

                                    *

カレンは、一週間の休暇を貰っていた。「教室は来週からよ」と、いたずらっぽい目をして笑っていた。長谷川に対する慕情がカレンの胸に急激に膨らんでいた。長谷川は気が着かないふりをした。

飛鳥が満人の綿入れを着て出て来た。カレンがクスクスと笑っていた。「何がおかしい?何でも笑うドーチ(娘)だな」と飛鳥も笑っていた。

「おい行こうか」

長谷川も普段着を着て毛糸のスケート帽子を被っていた。二人は天龍公園に向かった。唐人街の門をくぐって、ロシア料理の塔道斯(トトク)に入った。店主が「お友達が待っています」とテーブルに案内した。長谷川は、イワノフに会うと知っていた。ユダヤ坊主になりきったイワノフが隅のテーブルにひとり座っていた。

「何を食うかな?」

「もう注文しました」とイワノフ。店主がオードブルとワインを二本持って来た。イワノフが水を飲み干し、そのグラスにワインをドクドクと満たした。あっと言う間に突き出しもなくなった。これでは競争ではないか、、「もっと来ますからご心配なく」などと言う始末なのだ。

「猪呉元をどうした?」

「はあ?ランチですけど」

「食欲が落ちるようなことを言うなよ」と飛鳥が笑った。

それでは、、とイワノフが顛末を話した。

――従業員が帰った後のことである。イワノフが猪呉元に「社長さん、今夜、残業するから、明日は休ませてくれ」と言ったのである。「じゃあ、おれも残る」と猪呉元が言った。牛肉を盗まれたくないからである。猪呉元は誰も信用しない男であった。

――イワノフがひとりで牛の肩肉を解体していた。肉切り包丁で、バンバンと切っていた。一時間経った頃、「親方、これで明日は充分か見てよ」と猪呉元に声をかけた。猪呉元が冷凍室に入って来た。肉塊を数えていた。そのとき、「社長さんは、天津の陳王明(ちんわんみん)さんですね?」

――「えっ?」と振り返ったその顔が引きつっていた。そして肉切り包丁を掴んだ。イワノフがその腕を捻った。ボキッと肩甲骨が折れる音がした。陳王明が悲鳴を上げた。イワノフの野球のグローブのような手が陳王明の後ろ首を掴んだ。今度は頚椎が折れる音がした。

「ということですわな」とイワノフが笑った。飛鳥も笑っていた。長谷川が苦しい顔をしていた。自分は、段々、兵隊になって行く。青森に帰っても普通の人間に戻れるのだろうか?自分には娘が二人いる、、もう一人生まれる、、何時、日本に帰れるのだろうか。

「長谷川少尉、悪かったな。飯を食おう。イワノフ、スープを頼んでくれ」とワインを長谷川のグラスに注いだ。

「イワノフも休暇を取れ。猟にでも行け」

「3日下さい。白鳥がここから30キロ北の湖にシベリアから飛来しているのです」

「そんな鳥を撃っていいのかねえ?」

「私はタタールよ」ユダヤ坊主が言ったので可笑しかった。

「飛鳥さん、長谷川さんも行きますか?」

「少尉、どうする?」

「行きましょう」

                                 ~続く~


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隼速報の伊勢です。1941年、新京で生まれました。一家七人は終戦一年前に日本へ帰りましたが、兄三人は学徒出陣と予科練へ行きました。みな生還しました。「満州を掴んだ男」が現在集英社の手にあります。出版はわかりません。応援してください。ブログで「憲兵大尉の娘」を連載中です。是非、ご覧ください。


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プロフィール

伊勢平次郎

Author:伊勢平次郎
 
伊勢平次郎はペンネーム。アメリカへ単身移住してから50年が経つ。最初の20年間は英語もろくに話せなかった。英語というのは、聴き取りにくく、発音しにくい厄介なものだ。負けん気だけで生きた。味方を作ることが生き残る道だと悟った。そのうち、コロンビア映画、スピールバーグ監督、トヨタ工場、スバル・いすゞ工場の北米進出、日本の新聞社に雇われた。2013・6 冒険小説You Die For Me アブドルの冒険(邦題)をアマゾンから出版した。昨年のクリスマスには、King of Pepper(英語版)胡椒の王様を出版した。日本、英国、デンマーク、ドイツの読者が読んでくれたわ。妻のクリステインと犬2匹で、ルイジアナの湖畔に住む。

写真は、ハヤブサ F. p. japonensis。カタカナで書かれる。瞬間飛翔速度は、時速300キロという猛禽。

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