2015/09/15 (Tue) 上海株は下げ止まったのか?
shanghai sse 9.14

ま、チャイナが読めるなら苦労しない(笑い)。USの巨大銀行CITYのCEOは、「チャイナの数字は出鱈目だ。不良貸付の底が判らない。GDPを7.3%などと言っているが、4%だろう」と糞味噌にけなした。米国債を売って~人民元を買い~株と通過を下支えしていきたが、投資が息消沈している。外資どころか国民までが海外に資産を移している。まだまだ鎮火しないだろう。伊勢平次郎 ルイジアナ







連載小説「憲兵大尉の娘」第二部(41)

表紙憲兵大尉の娘_convert_20150830145240


(41)

4月の8日の朝、長谷川道夫憲兵少尉がロシア語の暗号解読を卒業した。先生が21歳のカレンであること~地理を学んだこと~暗号を解くのは面白いことが長谷川を飽きさせなかったのである。カレンは天生の教師であった。長谷川が行き詰まると、チェスを持って来た。クリル文字を入れて言葉を横に繋ぐパズルのブックを買って来た。暗号解読はこのパズルに似ていたからだ。それに、ソ連情報局は800のワードを使うだけであった。ロシア語は日本語のように定義が曖昧でなく、二重に取れる表現がなかった。名前は数字なのだ。その数字も変わらなかった。カレンが、ソ連情報局員の数字にニックネームを付けた。ナターシャー~イリーナ~アンナー~アレキサンドラ、、暗号員は女性が多いと言った。暗号部員が300人であると判った。変わっても、ほんの30人が一年に代わるようだ。カレンは全ての数字にネームを付けた。つぎに班に分けた。東京班~上海班~ハルピン班~新京班~天津班~奉天班、、という風に分けた。

「班に帰属すると代えられないようですね」と長谷川がカレンに言った。

「代えると機密情報のコントロールを失うからでしょう」

「つまり同志を信用しないと?」

「そうよ。ロシア人ほど疑い深い人種はいないのよ。ユダヤ人もだけど」

ふたりが話している部屋に領事と飛鳥大尉が入って来た。

「卒業したってカレンから報告があった。ご苦労さまでした。しかし、仕事はこれからです」と領事が長谷川に言った。八の字眉毛の飛鳥の目が笑っていた。

「お祝いするわけじゃないが、小崑崙でランチ食べないか?」

「あそこ美味しいわよ。私、圓篭排骨(蒸したスペア・リブ)~酸菜白肉(白菜漬けと白身の煮込み)~牛肉柿子(牛肉と柿の煮込み)のどれも好きなの」

「カレン、今日の仕事は、これでお終い。三人で楽しんで下さい」と領事が武官を呼んだ。武官の運転するダットサンのヘッドライトの横に日の丸の旗が着いている。警官が外交官だと判る。20分で大安街の小崑崙に着いた。

「中尉殿、ちょっと待っててください」と飛鳥が武官に言った。圓篭排骨を二箱買って出て来た。

「いやいや、有難う」と武官が感謝した。ダットサンが走り去った。三人が店に入ると個室を頼んだ。カレンは赤いスカーフで顔を見られないようにして座った。カレンがどんどん料理を注文した。すると、「僕の分もお願い」とイワノフの声がした。イワノフは神出鬼没だが、その秘密をカレンは知っていた。

「イワノフが出ると思ってたよ」と飛鳥が笑った。

「ハバロフスクのソ連情報局は何を話してる?」と長谷川が訊いた。

「1933年にヒトラーが政権を握ったことはご存知ですね?ナチスは反共を唱えて、ソ連はナチスを「ファシスト」と呼んで批判している。双方の独裁者はお互いを「人類の敵」「悪魔」と罵り合っている。一方で、ソ連情報局は「独ソ不可侵条約を話してる」

「ドイツは対ソ連戦を考えている?」と飛鳥。

「ベルリンは、戦車師団~飛行師団~軍用トラックを増強している」

「戦力はどっちが上か?」

「明らかにドイツです。機動力と飛行機が一段とソ連よりも優れている」

「よし。少し聞きたいが今日は少尉の卒業式だ。この話しは、武官から講義を受けるよ」

「イワノフ、これから何をする?」と飛鳥が訊いた。

「領事がハバロフスクへ行けと命令された。ウランと明後日、出発します」とタタールの力士が言った。

「帰って来てね」とカレンがイワノフの手を取った。イワノフが「スパシーボ」と感謝していた。ジャポチンスキーは力持ちだけではなく、インテリなのだ。もの凄い量の焼肉を食った。パンに、べったりとバターとイチゴジャムを塗っていた。飛鳥が笑って見ていた。

「ミス・スター、アパートを引き払うって?」

「領事の命令なの」とロシア語で話していた。

「その方がいい。向かいの家に特高(刑事)が住むよ。ソ連製のライフルを一丁上げた」と飛鳥が驚かした。

「どうやって通うの?」と長谷川。

「山中武官が天龍公園まで向かえにくるの」カレンは長谷川と館に住めるので嬉しかった。

「飛鳥大尉と長谷川少尉はこれから何をします?」とイワノフが言うとカレンが身を乗り出した。

「われわれに上海へ行く命令が出た。だが、出発はまだ決めていない」

「まあ、どのくらいの期間行かれるのですか?」とカレンが心配になった。

「多分、一ヶ月」

「ドシダーニャ」とイワノフが出て行った。三人が外へ出ると春風がそよそよと吹いている。松花江も解氷期に入った。川岸の柳が芽を吹き出していた。三人はチューリップの庭のある喫茶店に入った。

ハルピンの4月の気温は、最低が5度~最高が14度なのである。5月になると気温が最高22度と上がる。北海道に似ているかと言うと、そうではない。高低の激しい大陸性気候なのである。最も寒いのは1月で、マイナス22度まで下がる。

                                  *

上海に出発する前の日、飛鳥と長谷川は向かいの家の特高(刑事)に会った。特高はペアなのである。一人は中年で、一人はその息子かと思うほどの若い男であった。「ミス・カレンが無事に武官と領事館へ行かれた。満州警察の射撃場でライフルを練習する」と言って貰ったライフルを喜んでいた。「上海へ一ヶ月行くので、カレンを頼む」と飛鳥が歳上の特高に言うと、「あの女性は日本にとって重要です」と目が強くなった。「刑事は恐いな」と長谷川が思った。

その夕方、家族だけの晩餐が用意された。カレンがエプロンをかけてイリヤをヘルプしていた。テーブルの上に、赤と黄色のチューリップの鉢が置いてある。ヤコブがワインを配った。カレンが長谷川の横に座った。

「少尉が卒業した。カレンは何をするの?」と飛鳥がカレンに話しかけた。

「もう一人暗号解読員を訓練するのよ。この人はベルリンで育った日本人でロシア語はベルリン大学で習った人なの。お父さまが日本大使館員なんです。だから難しくはないの。でも、、」

「でも?」

「いいの。上海から帰って来られたら話します」

「杉原領事さんが選んだの?」

「そうです」

長谷川は「カレンは何か気になっている」と思った。


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ロッキードL15スーパーエレクトラ


飛鳥と長谷川が平房飛行場の駐機場に立っていた。空は薄曇りだった。平房では、4人の将校が乗っただけである。お互いに敬礼し合った。座席が大きく快適である。


「アメリカの富豪がこのロッキードで世界一周をしたと聞いた。去年、これを立川飛行機がアメリカから30機買ったんだ。だが、低空での安定性が悪い。失速して墜落するらしい。そこで、国産のエンジンを載せて、翼に改良を加えた。それが一式輸送機なんだよ。12人乗りで時速420キロと遅いが、航続距離が3240キロと長いのが特徴なんだ」

「上海まで直行ですか?」

「いや、大連の周水子に寄る。エライサンが乗る。大連から上海浦東陸軍飛行場に向かう。ハルピンから上海まで6時間だと言っている」

「なるほど。だから渡洋爆撃なんですね?」

「済州島か鹿児島の鹿屋から飛んで行くわけさ。重慶まで爆撃したからね。台湾にも飛行場を造っている。これからは、飛行機の時代だと思う」


china_map 1938


大連の周水子に向かって、一式輸送機が高度を下げた。「大丈夫かな?」と長谷川が気になった。気流が翼を揺らした。飛鳥を見ると、膝に両手を置いて、目を瞑っていた。
「ガタン」と着地した。平房から2時間30分であった。

8人の士官が乗って来た。口髭を蓄えた大佐がいた。右側の座席に座った。「海軍大佐だ」と飛鳥が囁いた。一式輸送機は再び空に舞い上がった。眼下は海原ばかりである。

「君たちは憲兵将校だね?」と海軍大佐がは話しかけて来た。

「はっ、そうであります」

「上海の何処に行かれるのか?宿所が決まっていないなら海軍士官宿舎を使いたまえ」

「はっ、有難うございます。宿所は決めています」と飛鳥が頭を下げた。あと1時間で、上海浦東陸軍飛行場だ」とアナウンスがあった。黄海は雨雲に覆われていて見えなかった。一式輸送機はゴロゴロと爆音を立てながら雨雲の中に入った。雷の閃光が走った。翼が左右に揺れた。雲の下は豪雨だった。上海は全く見えない。飛沫が窓を叩いた。

「視界不良の為、揚子江の北へ向かう」と機長がアナウンスした。

「南京だな」と大佐が言った。

「飛行場はあるんですか?」と飛鳥が心配になっていた。

「今年一月に爆撃した南京大校飛行場じゃないかな?もう修復したはずだからね」と大佐。

雷雨が収まりつつあるのか、南京の小高い山が見えた。滑走路が見えた。建物も新しい。機長がラジオで話していた。アメリカ製のラジオは真空管で増幅されていた。大容量のバッテリーが必要であった。日本は鉱石ラジオが主流であった。

「迂回した飛行機が集中しているので、旋回して待機します」と高度を上げた。30分ほどすると、ラジオが鳴った。一式輸送機ことロッキードが下降し始めていた。

                 
                            ~続く~


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日本人で、伊勢一人がブルームバーグ紙で論戦している。中国経済が劣化してから中国人の書き込みがゼロとなっている。いかに習近平が窮地に陥ったかがよく判る。日中貿易を見直すときである。

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8月30日、MIZ・TAKさまから、20、000円~WA・EIさまが今月も(毎月)、1000円の寄付を下さった。この方々は何年もの期間、伊勢を応援してくださった。たいへん感謝しています。


新藤義考さんにメールを出した

[ メッセージ ]
隼速報の伊勢です。1941年、新京で生まれました。一家七人は終戦一年前に日本へ帰りましたが、兄三人は学徒出陣と予科練へ行きました。みな生還しました。「満州を掴んだ男」が現在集英社の手にあります。出版はわかりません。応援してください。ブログで「憲兵大尉の娘」を連載中です。是非、ご覧ください。



comment

 伊勢さん、南シナ海における支那の軍事基地化は進んでいるように思います。彼らはやめない。アメリカは何をするつもりでしょうか。この海域が支那の支配下に置かれると大東亜戦争と同じことになります。
 戦争の目は考えていたほうがよいと思う。戦争はそれ自体意思を持っていますから。
くず鉄の値段が暴落したそうです。キロ16円ということです。もっていってです。世界経済は大きなデフレ圧力にさらされている。
2015/09/15 15:43 | kenji [ 編集 ]









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プロフィール

伊勢平次郎

Author:伊勢平次郎
 
伊勢平次郎はペンネーム。アメリカへ単身移住してから50年が経つ。最初の20年間は英語もろくに話せなかった。英語というのは、聴き取りにくく、発音しにくい厄介なものだ。負けん気だけで生きた。味方を作ることが生き残る道だと悟った。そのうち、コロンビア映画、スピールバーグ監督、トヨタ工場、スバル・いすゞ工場の北米進出、日本の新聞社に雇われた。2013・6 冒険小説You Die For Me アブドルの冒険(邦題)をアマゾンから出版した。昨年のクリスマスには、King of Pepper(英語版)胡椒の王様を出版した。日本、英国、デンマーク、ドイツの読者が読んでくれたわ。妻のクリステインと犬2匹で、ルイジアナの湖畔に住む。

写真は、ハヤブサ F. p. japonensis。カタカナで書かれる。瞬間飛翔速度は、時速300キロという猛禽。

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