2016/04/07 (Thu) 日本人の限界か?
デフレ不況の根本原因

 それでは、20年間にもわたって続いた日本のデフレ不況の主要な原因は、何であろうか。結論を言えば、その主因は、20年間にもわたって続いた、日本銀行(日銀)による極度に消極的な金融政策である。この結論は、「ある国のインフレ率は中長期的にはその国に存在するマネーの成長率によって最も大きな影響を受け、マネーの成長率を制御する能力と権限を持っている機関は中央銀行だけである」ことを認める限り、否定することはできない。

 高橋洋一氏(嘉悦大学教授)が示しているように、各国のインフレ率とマネーストックの成長率の間には統計的に密接な関係があり、2000年代における日本のインフレ率とマネーストックの成長率はいずれも、同時期の他国に比べて極端に低い(文献[2]参照)。同様の事実は、図2によっても確認することができる。この図は、過去30年間の日本経済において、名目成長率(g)および実質成長率(gR)が、マネーストック(M2)の成長率(gM)と極めて密接に連動して動いていることを示している。また、この図において、gとgRの差(g-gR)は、GDPデフレーターの上昇率(ある種の指標で測ったインフレ率)を示している。すなわち、インフレ期にはgがgRを上回り、デフレ期にはgがgRを下回る。この図は、1980年代には年率平均10%程度のマネーストックの成長率が年率平均6%程度の名目成長率、4%程度の実質成長率と2%程度のインフレ率を支えていたのに対し、1990年から1993年にかけて「バブルつぶし」を意図した日銀の金融引き締めによる急激なマネーストック成長率の低下に誘発されて名目成長率も実質成長率も急降下したことを示しており、また、図1に示されるように、その過程でインフレ率は低下し、失業率は増加した。1990年代以降は、約20年間にわたって、日銀はマネーストックの増加率を1980年代の5分の1の年率2%前後に抑えるようになり、その結果、平均名目成長率は年率マイナス0.7%程度、平均実質成長率は年率0.6%程度、平均インフレ率は年率マイナス1.3%程度になった。

 すなわち、極度に消極的な日銀の金融政策が、20年間にもわたるデフレ不況を定着させたのである。なお、図2において、1997年の景気の落ち込みは消費税増税の影響により、2008年の急激な落ち込みは、米国発の「サブプライム・ショック」による世界金融恐慌の影響により、引き起こされている。日銀の金融政策以外の原因によるこれらの落ち込みを除いて、マネーストックの変化に1年から2年程度のタイム・ラグ(時間の遅れ)を伴って名目成長率と実質成長率の変化が追随しているのがわかる。

 日本の名目GDPは1997年に記録した521兆円が最高であり、2011年の大震災の影響をまだ受けていない2010年においてさえ、1997年より41兆円も少ない480兆円にまで低下してしまった。もし1997年以降日本の名目GDPがOECD諸国の平均である年率4%で成長し続けていたら、現在の日本の名目GDPは約900兆円になっていたであろう。この場合には、現在日本で顕在化している税収不足問題も、国債残高の対GDP比の急上昇も、社会保険や社会保障の財源の不足問題も発生せず、財務省も消費税率を引き上げる口実を失っていたであろう。


人口減少デフレ説の誤りと円高デフレについて


 日銀の金融政策はデフレ不況に責任がないということを主張する論者(直接の利害当事者である日銀を含む)は、インフレ率は「マネー以外の何か」、したがって、「中央銀行の金融政策以外の何か」によって主として決定されると主張する傾向がある。その中でも最も大きな影響力を持ち、日銀の白川総裁も講演で利用した仮説として、藻谷浩介氏(日本政策投資銀行参事役)が流布した「デフレの原因は人口減少による少子高齢化である」という「人口減少デフレ説」がある(文献[4]参照)。しかし、岩田規久男氏(学習院大学教授)と高橋洋一氏が統計データに基づいて指摘しているように、各国の人口成長率とインフレ率の間には実際には何の相関関係もない(文献[1][2]参照)。

 最後に、「デフレの原因は円高にある」という説について考えよう。確かに、円高により輸入財の国内価格が低下するので、このことによりデフレが促進される。しかし、浜田宏一氏(イェール大学名誉教授)が指摘しているように、「国際金融論のマネタリー・アプローチ」によれば、中長期的に為替レートを左右するのは、各国に存在するマネーストックの相対比率である。すなわち、他国に比べて相対的にマネーストックを増やした(減らした)国の通貨は、それ以外の国の通貨に比べて相対的に安く(高く)なるのであり、この命題は実証的にも支持されるのである。すなわち、2008年のサブプライム・ショック後の急激な円高の原因は、日銀の金融緩和が他国(特に米国)の中央銀行に比べて極度に消極的だったことにある(文献[3]参照)。結局、デフレの原因と円高の原因は同じなのである。

 総選挙の翌日である12月17日の読売新聞によれば、浜田宏一氏がデフレ・景気対策の助言役として、新内閣の内閣官房参与(経済担当)に起用された。浜田氏は、日銀法の改正を視野に入れた安倍政権の金融政策において、重要な役割を果たすことが期待される。


伊勢爺の日本人観

上の論文は浅田統一郎・中央大学経済学部教授~専門分野 マクロ経済学、特にマクロ経済動学の評価である。伊勢もそう思うひとりである。日本人は政治家だけではなく、すべてに亘って消局的なのである。その原因を述べれば限りがない。日本人は根本的に外国に出たがらない民族性だと思う。それがグループ思考の温床を作る。何十年も続くとそれが性質になってしまう。内輪で座団会をやっている。当然、刺激がなく、視野も狭くなり~何ごとにも決論を出すことができない。伊勢平次郎 ルイジアナ







十年目を迎える隼速報

2007年7月22日に従軍慰安婦決議をテーマに書き始めた隼速報が、まもなく10年になる。管理人の伊勢は6月に75歳になる。隼同志とお別れのときがきた。寛大なるご寄付を頂いた。伊勢も10年の月日で応じたとお許し願たい。伊勢平次郎 ルイジアナ




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プロフィール

伊勢平次郎

Author:伊勢平次郎
 
伊勢平次郎はペンネーム。アメリカへ単身移住してから50年が経つ。最初の20年間は英語もろくに話せなかった。英語というのは、聴き取りにくく、発音しにくい厄介なものだ。負けん気だけで生きた。味方を作ることが生き残る道だと悟った。そのうち、コロンビア映画、スピールバーグ監督、トヨタ工場、スバル・いすゞ工場の北米進出、日本の新聞社に雇われた。2013・6 冒険小説You Die For Me アブドルの冒険(邦題)をアマゾンから出版した。昨年のクリスマスには、King of Pepper(英語版)胡椒の王様を出版した。日本、英国、デンマーク、ドイツの読者が読んでくれたわ。妻のクリステインと犬2匹で、ルイジアナの湖畔に住む。

写真は、ハヤブサ F. p. japonensis。カタカナで書かれる。瞬間飛翔速度は、時速300キロという猛禽。

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