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青春は終わった、、(放浪その37) |
1980年までの自分を今想うと、長い青春だったと思う。べトナム戦争が終わって、3年か4年が経っていた。アメリカは失業者が溢れ、インフレが猛威を振るっていた。特に東海岸のボストンやニューヨークは60年代の活気を失っていた。一番の問題は、「アメリカは思ったほど強い国じゃない」という世界のアメリカ観だった。「サイゴン陥落、最期のフライト」がテレビで流れた。ボーイングに乗り込もうと殺到する人々。車輪にしがみついた数人が離陸するボーイングから落ちた。それを見て、ベトナム戦争反対派の伊勢も「アメリカは強い国ではない」と思った。最後のフライトはダナンでも起きた。伊勢の妻となるクリステインはそのフライトのクルーだった。
共和党は、ロナルド・レーガンに目を付けた。レーガンは、映画俳優からカリホルニアの州知事になっていた。風貌良し、話が上手。大統領選挙は民主党のモンデールに大差をつけてレーガンが勝利した。共和党のスローガンは、「強いアメリカ」だった。アメリカ人はこういうスローガンに惹かれる。これをトランプが真似た。「アメリカを再び偉大な国に」とスローガンを掲げて、ヒラリーに勝った。
伊勢は新聞の求人広告をみて、ニューヨークで39の伊勢が出来る仕事はないと仕事を探すことを打ち切った。伊勢はアメリカへ来て初めて、日本へ帰ろうかと思った。しかし、それは敗北を意味した。
1980年のアメリカの青年たちは、カリホルニアを新天地だと見ていた。シリコンバレーがコンピューター産業の発祥地になっていた。ニールに話すと、「シリコンバレーに行くなら、のぶさんに仕事がある。来週、俺とサン・ホゼに行かないか?」と言った。航空券、ホテルはニールが払った。
ニールが伊勢を連れて行ったのは、コンピューター製造機器の競売だった。一日目、伊勢とニールは各部屋を覗いて展示されている機器の写真をポラロイドで撮って、番号を書き取った。ホテルへ帰ると、ニールは電話帳のような分厚い本を開いては、メモ書いていた。翌日の朝、ニールが競売の競りを落とすのを見ていた。競売人は製品の番号を見て、マイクロフォンで製品を説明すると、、
「これは、少なくとも、3万ドルのベル社のチップス蒸着器だ。5千ドルで買う者はいるか?」
誰も手を上げなかった。
「2千ドルならどうだ?」
数人が手を挙げた。ニールも手を挙げた。すると、「2500ドル」と一人が言った。次々と値段が上がって行った。5000ドルになった。
「5千ドル、5千ドル、五千ドル、最期のコールだ」
「6千ドル」とニールが叫んだ。
「6千ドル、6千ドル、6千ドル。誰もいないか?33番落札」
33番の旗を持っていたニールが落札したのだ。競売はインスペクションの日を入れて4日だった。
「のぶさん、わかったか?簡単だろ?」
「簡単だが、俺にやれってか?」
「やってくれ。競売は毎週ある。俺の代理人として、月給3千ドルとアパート代を俺が払う。ピックアップトラックが要るだろう。それも俺が買う」
「税金どうする?」
「払わなくてもいいように俺がする」
「ええ~?」
「俺はユダヤだ」
伊勢が国税庁に脅されていると言うと、「心配するな。俺の会計士が話を付けるから」と伊勢の肩を叩いた。ニールと伊勢はニューヨークに戻った。伊勢はダウンタウンのアパートを引き払った。ローラを飯に誘った。
「ローラ、サン・ホゼに仕事が出来た」と言うとローラが伊勢の目をじっと見ていた。
「のぶさんは、鳩なのね。飛んでくると思うと、飛んで行ってしまう」
「ローラは、ニューヨークの人がハズバンドに合っている。ボクは流れ者なんだ」
「ニューヨークに来ることがあったら、電話を頂戴」
ローラの眼に涙が溢れた。
~続く~
共和党は、ロナルド・レーガンに目を付けた。レーガンは、映画俳優からカリホルニアの州知事になっていた。風貌良し、話が上手。大統領選挙は民主党のモンデールに大差をつけてレーガンが勝利した。共和党のスローガンは、「強いアメリカ」だった。アメリカ人はこういうスローガンに惹かれる。これをトランプが真似た。「アメリカを再び偉大な国に」とスローガンを掲げて、ヒラリーに勝った。
伊勢は新聞の求人広告をみて、ニューヨークで39の伊勢が出来る仕事はないと仕事を探すことを打ち切った。伊勢はアメリカへ来て初めて、日本へ帰ろうかと思った。しかし、それは敗北を意味した。
1980年のアメリカの青年たちは、カリホルニアを新天地だと見ていた。シリコンバレーがコンピューター産業の発祥地になっていた。ニールに話すと、「シリコンバレーに行くなら、のぶさんに仕事がある。来週、俺とサン・ホゼに行かないか?」と言った。航空券、ホテルはニールが払った。
ニールが伊勢を連れて行ったのは、コンピューター製造機器の競売だった。一日目、伊勢とニールは各部屋を覗いて展示されている機器の写真をポラロイドで撮って、番号を書き取った。ホテルへ帰ると、ニールは電話帳のような分厚い本を開いては、メモ書いていた。翌日の朝、ニールが競売の競りを落とすのを見ていた。競売人は製品の番号を見て、マイクロフォンで製品を説明すると、、
「これは、少なくとも、3万ドルのベル社のチップス蒸着器だ。5千ドルで買う者はいるか?」
誰も手を上げなかった。
「2千ドルならどうだ?」
数人が手を挙げた。ニールも手を挙げた。すると、「2500ドル」と一人が言った。次々と値段が上がって行った。5000ドルになった。
「5千ドル、5千ドル、五千ドル、最期のコールだ」
「6千ドル」とニールが叫んだ。
「6千ドル、6千ドル、6千ドル。誰もいないか?33番落札」
33番の旗を持っていたニールが落札したのだ。競売はインスペクションの日を入れて4日だった。
「のぶさん、わかったか?簡単だろ?」
「簡単だが、俺にやれってか?」
「やってくれ。競売は毎週ある。俺の代理人として、月給3千ドルとアパート代を俺が払う。ピックアップトラックが要るだろう。それも俺が買う」
「税金どうする?」
「払わなくてもいいように俺がする」
「ええ~?」
「俺はユダヤだ」
伊勢が国税庁に脅されていると言うと、「心配するな。俺の会計士が話を付けるから」と伊勢の肩を叩いた。ニールと伊勢はニューヨークに戻った。伊勢はダウンタウンのアパートを引き払った。ローラを飯に誘った。
「ローラ、サン・ホゼに仕事が出来た」と言うとローラが伊勢の目をじっと見ていた。
「のぶさんは、鳩なのね。飛んでくると思うと、飛んで行ってしまう」
「ローラは、ニューヨークの人がハズバンドに合っている。ボクは流れ者なんだ」
「ニューヨークに来ることがあったら、電話を頂戴」
ローラの眼に涙が溢れた。
~続く~
確かサイゴンから引き上げる最後の飛行機を必死になって追いかける人の姿がうつていた。後年その飛行機に国務次官補のアーミテージ氏が乗っていたと書いた記事を読んだ。最後に脱出されたわけです。
負けて逃げる亜米利加を追いかけるベトナム人がいる。
倒産した会社を追いかける人はいない。この現象はいかが理解したらいいか。?
どう見ても普通の人が追いかけていた。アメリカと協力した人はアメリカは連れて帰る。すべてではないがとにかく連れて帰る。
いいですねアメリカ政府は。
Afghanはどうでしたでしょうか?
負けて逃げる亜米利加を追いかけるベトナム人がいる。
倒産した会社を追いかける人はいない。この現象はいかが理解したらいいか。?
どう見ても普通の人が追いかけていた。アメリカと協力した人はアメリカは連れて帰る。すべてではないがとにかく連れて帰る。
いいですねアメリカ政府は。
Afghanはどうでしたでしょうか?
名無し [URL] 2022/09/04(日) 19:53 [EDIT]